
詩作品 第三章
8/29夏の風が吹く時
木々の緑がささやくよ
季節の移ろいささやくよ
夢見る坊やはあと少し
木の葉に手のつく背の高さ
サワサワそよぐ夏の風
頭の上を過ぎて行く
緑の若葉は待っている
君が届くの待っている
頭の上のその若葉
風に吹かれて涼し気に
次の季節を待っている
大きくなった君の手が
届くその日を待っている
今日もどこかで夏の風
優しく優しく髪揺らす
優しく優しく木々揺らす
しあわせ運んで過ぎて行く
ある朝突然訪れる転機
ある朝 起きると突然転機は訪れていた
人生の不意をつき 足音を忍ばせやってくる
耳をすませてもだめだ
虚無に紛れてそれはやってくる
迎えるべく転機を受け入れるか否かは
予め決められていたもので
選択権など初めからないのだ
人生などというものは
何も期待しない方が上手くやっていける産物なのだ
すり硝子のやうな女
水に染まらぬすり硝子
光を和らぐすり硝子
私の中に住み着いた
薄ぼんやりしたあなたの記憶
窓の向こうであなたが眠る
私はただただ頬を寄せる
優しい曇った硝子の向こう
あなたは安堵に包まれながら
待ち惚けする
私に気付かず
ただただまどろみ
眠りの彼方へ
冷たい硝子の感触に
思わず私は頬を離す
雨がぽつぽつ当たって撥ねる
幻影模様のすり硝子
窓の向こうのあなたの中で
ただただ私は泳ぎたい
体液となり血流となり
あなたの中でパタパタと
魚のように泳いで眠る
温もりの中をパタパタと
魚のように泳いで眠る
窓の向こうはパタパタと雨
私は窓の向こう側で
虫のように雨にあたり
あなたの硝子に押しつけられる
あなたはきれいなすり硝子
曇りの中に私は眠る